境界性人格障害の治療方法、弁証法的行動療法(DBT)とは?
境界性人格障害(ボーダーライン)の治療について研究が進み、効果がある治療方法のひとつに「弁証法的行動療法(DBT)」があります。
その弁証法的行動療法の中の「認証戦略」という治療方針が、境界性人格障害の治療において有効性が高いということで、専門家の間でも注目度が上がっています。
境界性人格障害の治療方法、弁証法的行動療法とは?
境界性人格障害の治療方法の中で、認証戦略を中心とした弁証法的行動療法=DBTが効果が高いといわれています。
認証戦略というのは「肯定」を重要視した治療方針になります。
問題点を批判したり、責めたりするのではなく、悪い点でも見方をかえて良い意味を見つけて、あるがままの状態を受け入れ、肯定していく姿勢です。
境界性人格障害の患者さんは、心の中に自己否定の感情を強く医空いていたり、劣等感(コンプレックス)が大きい場合がほとんどです。
境界性人格障害の問題点を改善するという治療ではなく、患者本人のあるがままの状態を受け入れて肯定することで、心の傷を癒し、自尊心の回復を目指す治療方法になります。
ネガティブ思考からプラス思考へ変えていく
境界性人格障害の人のほとんどは、ネガティブ思考が強く、悪い方向へ考えたり、物事のマイナス面に焦点を当てるパターンを持っています。
弁証法的行動療法(DBT)の認証戦略での、どんなに悪いことでもとらえ方を返ると良いところがある、という視点を持つことが、マイナス思考から徐々にプラス思考へと変化するきっかけになっていくのです。
失敗や問題も自分を成長させてくれるもの、などのプラス思考をとりいれていくことで、境界性人格障害の改善克服へ近づいていきます。
境界性人格障害の治療において、重要なことは、問題点を探し出し、批判や否定することではなく、ひつでも良い点を見つけ出し、肯定的に評価する関わりが効果があるとされています。
リハネンの弁証法的行動療法とショーペンハウエルの哲学
リハネンが提唱した弁証法的行動療法と、ショーペンハウエルの哲学には共通点があります。
興味深いことに、この2つはどちらも東洋思想(インド哲学や禅など)の考え方が参考になっているのです。
弁証法的行動療法(DBT)が重要視しているのは、二分法的認知を解消することであって、相反するふたつのものであっても実は同じものということに気がつく、という思想です。
ドイツの哲学者ショーペンハウエルも、善と悪など相反するように見えるものも実体はひとつのものの別の面にすぎない、という哲学です。
心理学の世界においても、東洋思想や東洋哲学影響が大きく、さまざまな領域で禅や東洋思想が取り入れられています。
◆この記事は、パーソナリティ障害の臨床の第一人者であり岡田クリニック院長の岡田尊司先生執筆・監修「ササっと分かる境界性パーソナリティ障害(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。