劣等感やコンプレックスに悩むLD学習障害、精神的に不安定な傾向も

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劣等感やコンプレックスに悩むLD学習障害、精神的に不安定な傾向も

学校の勉強でつまずくことが多いLD学習障害の子供は、自信を喪失する体験が多くなり、劣等感/コンプレックスを感じやすい傾向が高いといえます。

また、LD学習障害の場合は、学習面だけでなく、メンタル面においても精神的に不安定になりがちです。

劣等感やコンプレックスに悩みやすいLD学習障害の子供たち

LD学習障害は、小学2年生で習う九九が4年生や5年生の高学年になってもできない、といったように、特定の教科の学習が1〜2年以上遅れている点などから判断されます。

早い段階でLD学習障害を発見し、適切な指導を受けることができなければ、学習面においてまわりの子たちとの差がどんどん開いてしまいます。

LD学習障害の子供本人はサボっていたり怠けているわけではなく、「一生懸命頑張っている」のにも関わらず、その頑張りが成績に表れないので「がんばってもダメ」と自信を喪失する体験が多くなりがちです。

なかには「できない自分」をまわりに知られるのが嫌なので、わざと勉強しないふりをしたりして「できないんじゃなくて、やってないだけ」と演じるケースもあります。

劣等感や挫折感がきっかけで問題行動をおこす場合も

またLD学習障害だけでなくADHDを合併している子供の場合は、劣等感/コンプレックス、挫折感がきっかけとなって問題行動を起こす傾向もみられます。

特にADHDの衝動性が強いタイプの子は、友達に暴力をふるったり、学校の備品を壊したりして、先生から叱られることが多くなりやすいと考えられます。

問題行動のせいでクラスメイトからも仲間はずれにされてしまい、さらに劣等感や挫折感が高まってしまうという悪循環が生まれがちです。

誤解や無理解に悩み苦しむLD学習障害

LD学習障害の子は、勉強嫌いで怠けているわけではありませんが、親や先生からは「さぼってばかり」「集中していない」など誤解されることも少なくありません。

周囲からの誤解や無理解に心を悩ませ、自尊心が傷つき、孤立しやすい特徴がみられます。

心を開くことができる先生や友達がいればいいのですが、ちゃんと理解されず誤解されたまま、適切な支援も受けられない、という状態が続くと、徐々に学校に居場所がないと感じてしまい、不登校や引きこもりになってしまう例もあります。

自尊心はプラスの経験で育つもの

自尊心/自尊感情は「自分は価値ある存在だ」と思う気持ちのことです。

自尊心は、ほめられる、感謝される、頼られる、信頼される、喜ばれる、などのプラスの経験によって育つものです。

ほめられたり、感謝されたりする体験が少ないと、自尊心が低いまま成長してしまい、精神的に不安定で、やる気や向上心に欠ける傾向があります。

LD学習障害の子へのダメな声かけ例

・どうしてできないの?
・できないのは君がおかしい
・いつかできるようになる
・ほかの子はみんなできるよ
・世の中勉強だけじゃない
・がんばればできる
・大きくなればできるようになる

LD学習障害の子供の励まし方は?

親や先生など、LD学習障害の子に対してどのように励ましたり声かけをすればいいのでしょうか。

LD学習障害の子への声かけで大切なポイントは、思いやりをもった言葉がけです。

「今は君だけの時間だ」「これは君だけに」など、まわりのクラスメイトや兄弟からえこひいきと思われるかもしれませんが、そういうことではありません。

本人はがんばっているのに、まわりから遅れがちになる子をタイミングよく特別扱いすることは、まわりの子に対しても「適切なサポートの具体例」というお手本を示すことにもつながるのです。

◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授の上野一彦先生執筆・監修「図解よくわかるLD(学習障害)(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。