LD学習障害の二次障害、反抗挑戦性障害と行為障害を予防するために

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LD学習障害の二次障害、反抗挑戦性障害と行為障害を予防するために

発達障害のひとつLD学習障害は合併(併発)も多い障害ですが、二次障害につながるリスクが高いのも特徴的です。

LD学習障害の子供が、まわりの人からの理解を得られず、孤独でストレスの多い学校生活を過ごしていると、反抗挑戦性障害と行為障害などがLD学習障害の二次障害としてみられるケースも少なくありません。

とくに、LD学習障害だけでなくADHDも併発している場合には二次障害の傾向が強くなるといわれています。

LD学習障害の二次障害に注意

LD学習障害は、ADHDや高機能自閉症など併発しやすい発達障害があります。

また、他の発達障害の併発や合併だけでなく、まわりのみんなと同じようにできない、周囲の人が理解してくれない、分かってもらえない、という周囲の無理解から、自暴自棄になったりする二次的な障害がおこるケースもみられます。

LD学習障害の子供の中でも、ADHDを併発しているケースでは、二次的な障害を抱えやすい傾向が高いと考えられています。

LD学習障害の二次障害としては、反抗的や否定的な態度、キレやすい、人をイライラさせたり、失敗を人のせいにする等の言動が特徴として目立つ「反抗挑戦性障害」と、動物虐待や器物損壊、放火、万引きなどの反社会的な行動が特徴的な「行為障害」の2つが代表的です。

反抗挑戦性障害の症状や特徴

反抗挑戦性障害にみられる特徴や症状には次のようなものがあります。

・かんしゃくをおこしやすい
・大人と口論する
・大人の要求やルール(規則)に従うことに反抗したり、強く拒否する
・わざと人をイライラさせる、怒らせることをする
・自分の失敗を他人のせいにする
・神経過敏でイライラしやすい
・怒りっぽい
・いじわるで執念深い

行為障害の症状や特徴

行為障害の症状や特徴には次のようなものがあります。

・人に対して攻撃的になる
・動物を虐待する
・放火したり破壊行動をする
・うそをつく
・窃盗(万引き)をする
・深夜に外出したり、家出をして長期間外泊する
・学校をサボったり、ルールを守らない

叱られることが多いと二次障害になりやすい

反抗挑戦性障害や行為障害をおこすのは、周囲の人から「乱暴な子」「じっとできない子」などの偏見のレッテルを貼られ、自分自身もそのイメージにしばられてしまっている子供に多い、という傾向があるようです。

例えば、「静かにしなさい」と先生に注意され、いたたまれなくなって席を立つとまわりから「ほら、また出て行くよ」とからかわれて、さらにつらい状況に追い込まれてしまうという悪循環が生まれます。

周りのクラスメイトや友達から冷たい視線で見られることは、とてもつらいことです。

周囲の人がLD学習障害の子供の存在を認め、きちんと理解することで二次障害を防ぐことは可能なのです。

精神的ストレスから心身症になるLD学習障害の子供も

不安や悩みが積もり積もって大きな精神的ストレスとなり、下痢や吐き気、頭痛や腹痛などの身体的な症状を引き起こすことがあります。

そういった心理的ストレスが原因となって身体症状があらわれるものを「心身症」といいます。

子供の場合、朝学校に行く時間になると「お腹が痛い」「頭が痛い」など腹痛や頭痛の症状を訴えて、学校に行きたくてもいけない状態になる、という心身症のケースも少なくありません。

しかし、昼頃になると症状はすっきり良くなって、普通に遊んだり食事をすることができるようになるのです。

そんな子供の姿から親には「ずる休み」「仮病」と思われてしまいがちです。

自分ではちゃんと明日は学校に行こうと思っていても、翌朝また同じような症状があらわれてしまい、徐々に不登校になってしまうこともあります。

身体症状があらわれる場合には、小児科を受診して他の病気がないか診察する必要があります。

身体に異常がなければ、症状の原因は何か、どう対処すればいいのか、医師に相談するとよいでしょう。

「どこも悪くないって先生に言われたでしょ」と子供を突き放すような対応では何の解決にもならないのです。

◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授の上野一彦先生執筆・監修「図解よくわかるLD(学習障害)(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。