言葉づかいが独特なアスペルガー症候群、空気が読めない、冗談が通じない
アスペルガー症候群は、発達障害の中でも知的発達の遅れがない自閉症である高機能自閉症の仲間といえます。
アスペルガー症候群と高機能自閉症の大きな違いは、会話能力に遅れがない点です。
今回は、空気が読めない、言葉遣いが独特、冗談が通じない、といったアスペルガー症候群の特徴について書いてみたいと思います。
アスペルガーはしゃべる自閉症
高機能自閉症の主な特徴は、①対人関係がうまく築けない、②言葉の発達に遅れがある、③興味や関心の幅が狭い、の3つがあげられます。
アスペルガー症候群は、この3つの特徴を持ちながら、知的発達に遅れがなく、また会話にも目立った遅れがないものです。
そのため、ある専門家は、アスペルガー症候群のことを「しゃべる自閉症」と呼ぶこともあります。
アスペルガー症候群の3つのタイプ
アスペルガー症候群はおおきく次の3つのタイプにわけることができます。
【積極奇異タイプ】
誰にでも積極的に話しかけるタイプ。ただし、礼儀作法やマナー、謙虚さなどに欠けるところがあり、まわりの人からは「変わってる」「変な人」と思われてしまいがち。
【受け身タイプ】
自分から進んで人に話しかけることはないが、誘われれば付き合うタイプ。周囲からはおとなしい性格と思われやすく、アスペルガー症候群の存在に気づかれにくい。
【孤独タイプ】
他人と関わることにストレスを感じやすく、ひとりでいたいと思っているタイプ。まわりからは愛想がない人と思われやすい。
冗談や比喩が通じないアスペルガー
アスペルガー症候群は会話に遅れがないと言っても、冗談や皮肉、例え話、お世辞など、関節的な表現を理解することが苦手です。
言葉に含められている様々なニュアンスを想像することが苦手で、言葉の意味をそのまま受け取ってしまう傾向がみられます。
例えば、手伝って欲しいときに「ちょっと手を貸して」と言われたときに、「手伝う」という意味を理解できずに両手を差し出す子供もいます。
また、冗談で「なにバカなことやってるんだよ」と笑って言っても、「僕はバカじゃない!バカというのは…」と怒り出してしまうこともあります。
このように、アスペルガー症候群は、言葉通りの意味を理解することはできるのですが、言葉や言葉以外に含まれる意味を想像して解釈することができない傾向がみられます。
相手の気持ちが理解できないアスペルガー症候群
自閉症では人に興味や関心がないのですが、それとはまた少し違って、アスペルガー症候群ではまわりの人と積極的にコミュニケーションをとるタイプもみられます。
ですが、対人関係をうまく築けない社会性の障害のせいで、人間関係がうまくいかないケースも少なくありません。
アスペルガー症候群の特徴として、相手の気持ちが理解できない、という傾向があります。
例えば、体型がふっくらしている人に対して「太ってるね」とハッキリと言って相手を傷つけたり怒らせてしまうことがあります。
アスペルガーは空気が読めない
また、アスペルガー症候群の人は、空気が読めないことも大きな特徴といえます。
会話をしているときに、相手が興味がなさそうな表情だったり、迷惑そうに感じていても、その空気や雰囲気を読みとることができず、ひとりでずっと話し続けてしまうことも多いようです。
また、自閉症と同じように、物事の順序にこだわりを持っていて、いつもと違ったりすると混乱してしまったり、パニック状態になってしまうアスペルガー症候群の子供もいます。
また、時間に対してもこだわりが強く、相手が約束の時間に少しでも遅れたりすると執拗に責め立てたりすることもあります。
◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授の上野一彦先生執筆・監修「図解よくわかるLD(学習障害)(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。