【教師の対応】授業中に歩き回るADHDの子どもの対処法は?

【教師の対応】授業中に歩き回るADHDの子どもの対処法は?

発達障害のADHDの子どもの場合、じっと座れない、ガサゴソ落ち着きがない、授業中に歩き回ったり、教室の外に出て行ってしまうこともあります。

こうしたADHDの子どもとの接し方において、学校の教師はどのように対応すればよいのでしょうか。

なぜADHDだと落ち着きがないのか?原因は何?

落ち着きがない、歩き回る、教室の外に出て行く、といったADHDの問題行動はなにが原因でおきるのでしょうか。

これらADHDの多動性による問題行動の主な原因は、外からの刺激に過剰反応してしまうからです。

脳の一部の機能障害によって、本来必要としていない情報まで脳に取り込んでしまい、自分の感情をコントロールすることができなくなってしまいます。

教師の対処法のポイントは?

授業中に立って歩き回る、外に出て行く、体を動かし続ける、質問を最後まで聞かずに答える、といったように、ADHDの子どもはじっと静かにしておくことが苦手です。

無理にやめさせようと思っても、本人の意思でどうにかできる範囲でもなく、また逆に興奮させてしまうことにもなります。

教師の対応として、ADHDの子どもの行動は、授業進行の妨げにならない範囲であれば、認めてあげることもひとつの方法です。

とはいえ、何もかも許してしまうのではなく、「席を立たない」など目標をつくり,ADHDの子ども本人に無理のない範囲で少しず難易度を上げていくとよいでしょう。

ADHDの多動性は、子どもが成長して年齢があがるにつれて症状が落ち着く傾向があります。ですが、不注意の特徴は青年期まで続くといわれています。

ADHDの子どもへの伝え方

ADHDなど発達障害の子どもの声かけやつ伝え方においては、次の3つのポイントが大切です。

①否定形ではなく肯定的な言葉で伝える
「立たない」ではなく「座っている」

②抽象的よりも具体的な表現で伝える
「がんばる」「がまんする」ではなく、「 5分」「18ページまで」

③子ども本人の努力を評価してほめる
じっと座っていることが当然である、というのは、固定観念です。常識や一般論にとらわれず、本人の努力を評価しほめることが大切です。

具体例「ADHDの子どもの目標の立て方」

2、授業中に席を立つのは3回まで
3、席を立つのは1回まで
3、15分は座っている
4、授業終わりまで座っている

ルールを決めておくことが大切

どうしても我慢することができず、教室の外へ出て行ってしまうADHDの子どもの対処法として、無理に引き止めるのではなく、ルールを決めた上で許可するようにしましょう。

どこへ行くのか、何をするのか、何分くらいで戻ってくるか、など子どもから教師に伝えるようにして、教師の了解を得てから教室の外へ出ることを約束します。

子どもの安全を考慮すると、教師が行き先を把握しておく必要もあり、担任教師だけで対応が難しい時は、手の空いている他の教師や補助教員に協力してもらうようにしましょう。

また、ADHDの子どもが教室に戻ってきたときは、「帰ってきてくれて安心した」「もう大丈夫?」など、教師が声かけをすることも大切です。

ADHDとは違う?ADD(注意欠陥障害)とは?

ADHDは発達障害のひとつで、日本語では「注意欠陥多動性障害」という意味に訳されていますが、よく似た言葉として「ADD(注意欠陥障害)」というタイプもあります。

ADHDの主な特徴は次の3つ、①不注意、②多動性、③衝動性ですが、ADD(注意欠陥障害)の特徴は、動作が遅い、鈍い、よくぼんやりしている、という症状がみられます。

ADHDの多動性に対して、ADDは「寡動(かどう)」と呼びます。

多動性と比較すると、ADDのタイプの子どもは落ち着いてみえるので、まわりの人からすると特に問題がないように重られやすい傾向があります。

しかし、ADD(注意欠陥障害)のタイプの子どもも、頭の中は混乱状態になっていて、その場その場の状況に合わせて適切な行動ができず、行動面での困難があるという点ではADHDとADDは共通しています。

ADDの子どもの対応と接し方

ADDの傾向がみられる発達障害の子どもの接し方について、親や教師など周囲の大人が「早くしなさい」とあせらせるのは禁物です。

何から始めれば良いか、優先順位はどう判断するか、具体的なやり方など、ADDの子どもの注意を引きながらの対応が求められます。

また、ADD(注意欠陥障害)の子どもの性格は、内向的で落ち込みやすい傾向があるため、いじめの対象になってしまうこともあり、教師は注意しておきたいものです。