発達障害の子どもの習い事は何がいい?|ADHD・LD学習障害
ADHDやLD学習障害などの発達障害の子どもにも、好きなことや得意な分野があるものです。
発達障害の子どもの得意なことを見つけ、能力を伸ばしてあげることも、親や教師などまわりの大人の役割といえます。
そこで今回は、発達障害の子ども(ADHDや LD学習障害)にはどんな習い事が向いているか、向いていないのか、について書いてみたいと思います。
苦手なことや弱点の克服に気をとられすぎないように
LD学習障害やADHDなど発達障害の子どもは、学習能力の一部で遅れがあったり、不注意や多動など苦手な分野があります。
発達障害の子どもの親としては、子どもの弱点や欠点を克服させようとしたり、苦手なことを重点的にやらせようとしてしまいがちです。
しかし、苦手なことに取り組むのは大人でも苦痛を感じやあすく、発達障害の子ども自身にとっても苦しく、逆効果になってしまうおそれもあります。
また、ほかの子どもと同じようにはうまくできない、失敗ばかり、という体験が多くなってしまうと、発達障害の子どもの自尊感情が失われ、引きこもりがちになってしまうこともあるので注意しましょう。
好きなこと得意な分野を伸ばすことで自信がつく
ADHDだから、LD学習能力だからといって、すべての分野が苦手ということではなく、子どもそれぞれに好きなことや得意なこと、興味があることがあります。
場合によっては、一般的な子どもよりも集中したり熱中して深い知識を持つこともあります。
子どもの好きなこと、得意なこと、興味があることを存分にやらせてあげて、できたときは大人がちゃんとほめる、という体験を通して、子どもは達成感を感じます。
そうすることで、発達障害の子どもが自分に自信を持ち、自尊感情も高くなっていくのです。
発達障害の子どもに向いてる習い事は?
LD学習障害やADHDなどの発達障害の子どもには、どんな習い事が向いているのでしょうか。また、不向きな習い事はあるのでしょうか。
もちろん個人差はありますが、一般的に言われていることとして、サッカーや野球などのチームワークが必要になるスポーツなどは、発達障害の子どもにはあまり向いていないといわれています。
逆に、個人種目、水泳などタイムや順位で評価される個人競技は、発達障害の子どもに向いているとされています。
ただし、個人競技であっても、テニスや卓球など1対1で対戦するようなスポーツは、発達障害の子どもにはあまり向いていないといわれています。
学校の部活動や習い事を選ぶ際に、参考にしてみてください。
発達障害の子ども本人の意思を尊重すること
どんな習い事を始めるにしても、発達障害の子ども本人の気持ちを親が確認することは大切です。
泳ぐのが得意だからスイミングに、字が下手だから書道に、と親が子どもの意思を無視して勝手に習い事を決めてしまうと、子どもがすぐあきてしまったり、通うのが嫌になってしまいます。
発達障害の子どもがやりたいこと、好きなこと、興味がある習い事を選ぶことが大切です。
「やめたい」と言ってきたらどうする?
発達障害(ADHDやLD)の子どもが習い事をやめたいと言ってきたとき、親はどう対応すればよいのでしょうか。
子どもが「やめたい」と言ってきた場合、気が合わない子がいるとか、難しすぎるとか、興味がなくなったとか、いろいろな理由が考えられます。
「何をしても中途半端」「今やめるともったいない」と親が聞く耳を持たない対応をしていると、発達障害の子どもが心を閉ざしてしまうおそれもあります。
まずは、なぜやめたいのか、について、発達障害の子どもの気持ちを親が受け入れることが大切です。
親と冷静に話し合うことは、発達障害の子ども自身が、自分でやりたいことを見つける大切さや、自分の意見を理解してもらうためのプロセスを学ぶ機会にもなります。
親が感情的になって叱ったり、説教したりすることは避け、落ち着いて話し合う場をもつことが重要です。
◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授の上野一彦先生執筆・監修「図解よくわかるLD(学習障害)(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。