[LD学習障害]ディスレクシア失読症は英語が苦手な傾向が多い?
文字や文章を読むことが読めなかったり、読むことが困難なLD学習障害を「ディスレクシア=失読症」といいます。
そのディスレクシア=失読症では、特に英語が苦手な傾向が多いといわれています。
ディスレクシア=失読症は英語圏に患者数が多い
ディスレクシア=失読症は、もともとは英語圏に多く見られるLD学習障害の症例です。
次の図は、文字の音との対応関係について、日本語(漢字・かな)、英語、ドイツ語を比較した表です。
それぞれの言葉の特徴は、粒子性と透明性によって位置づけられます。
粒子性とは、ひとつの文字が対応する音の単位の大きさの意味で、透明性とは、文字と音との対応関係の意味です。
粒子が細かくて、透明性が低いと、ディスレクシアが生じやすい言語になります。
同じアルファベットを使用している言語でも、英語よりもドイツ語、スペイン語、イタリア語
の方が透明性が高く、英語圏にディスレクシア(失読症)が多く発症しやすいことの論拠のひとつといえます。
小さい頃から英語を学習させるときは注意が必要
現在の日本において、国際化が進んでいることもあり、子どもが小さいころから英語を学ばせる親が増えてきています。
小学校でも英語教育を取りいれ、幼稚園などでも英語教育を取り入れる傾向が高くなってきています。
ですが、ディスレクシア=失読症の場合、日本語は一文字一音のひらがなや表意文字の漢字で構成されているのでなんとか読むことができても、英語の単語は音韻や音素という細かい単位の認識が育っていないと読むのが難しく、つまずきやすいといわれています。
それまではまわりの学習速度になんとかついてこれていた子どもが、英語になると急にLD学習障害が表面化してしまった、というケースも少なくありません。
「早いうちに英語を身につけることが大切」と、幼児期から英会話教室に通わせる親も増えていますが、ディスレクシアの知識がないと子どもに大きな負担をかけてしまうことになる場合も考えられます。
知能とディスレクシアは別のものととらえ、子どもが英語の勉強を嫌がる場合には、担当の先生に相談して子どもにあった指導方法をしてもらう必要があります。
◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授の上野一彦先生執筆・監修「図解よくわかるLD(学習障害)(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。