境界性(ボーダーライン)人格障害は治る、治らない?治療期間は?
境界性(ボーダーライン)人格障害の患者本人や、親や家族の人などがもつ疑問の中でも多いのは「境界性人格障害は治るのか」という疑問だと思います。
さらに今現在、日本国内での境界性(ボーダーライン)人格障害の患者数も毎年増えているので「境界性人格障害は治療すれば完治するのか、それとも治らないのか」という疑問を持つ人の数も増えていることが予想されます。
境界性(ボーダーライン)人格障害はパーソナリティ障害のひとつで患者数も多く、治療することで症状が改善して治る病気なのか、それとも治療をしてもなかなか治らない完治しない障害なのか、気になったのでいろいろと調べてみました。
ということで今回は、境界性(ボーダーライン)人格障害は治るのか治らないのか、治療期間はどれくらいの長さなのか、について書いていきたいと思います。
境界性人格障害は治療で治る、治らない?
境界性人格障害は治療すれば治るのか、治らないのか、について調べていたら、境界性人格障害の治療経験が豊富な精神科医のこんな言葉をみつけました。
「自殺さえ防ぐことができれば、境界性人格障害の9割は回復する。嵐のように激しい感情は、境界性人格障害を治し、不足しているものを取り戻そうとする患者本人の必死さです。」
これは実際に境界性人格障害の治療に携わっている専門医の言葉なので、信憑性はかなり高いと思います。
「境界性人格障害の9割は回復する」ということなので、完全に治る、完治するかどうかまではハッキリは分かりませんが、ほとんどの境界性人格障害は、治療することで症状が軽くなり改善していくのは確かなようです。
▼関連記事
境界性人格障害と自殺との関係
また、平成27年の境界性(ボーダーライン)人格障害の調査データも見つけました。
境界性人格障害の患者の約10%は自殺で亡くなっていましたが、9割の患者は境界性人格障害から回復しているようです。
この境界性人格障害の調査データから分かることは、境界性人格障害の治療での注意点は、自殺を防ぐことと考えられます。
境界性人格障害はリストカットや自傷行為、自殺企図や自殺未遂が多い病気なので、それがエスカレートして命を落としてしまうことがないように、自殺を防ぐことができれば、その後の治療で境界性人格障害の症状は治っていくことにつながります。
▼関連記事
→生きるのが辛い、苦しい、境界性人格障害の心理的特徴について
境界性人格障害の治療期間はどれくらい?
次に、境界性人格障害の治療期間はどのくらいの年月がかかるのか、について調べてみました。
実際に治療をしている人や、これから境界性人格障害の治療を考えている人にとっては、境界性人格障害の治療期間は、1ヶ月なのか、3ヶ月なのか、それとも1年や3年なのか、とても気になる点だと思います。
境界性人格障害の治療期間について調べてみたところ、次の調査データを見つけました。
「境界性人格障害の治療を開始してから6年後には、約半数の人が境界性人格障害の診断基準を満たさなくなっていた。」
当然、人によって個人差があると思うので、必ずこの期間というわけではないと思います。
症状の程度によっては、2、3年の治療期間で境界性人格障害が治る人もいると思いますが、境界性人格障害の患者のうち半分は6年以内の治療期間で完治する、と考えてよさそうです。
▼関連記事
→境界性(ボーダーライン)人格障害は遺伝性や親子関係が原因?
境界性人格障害の治療が難しい例も
中には治療が難しく、治療期間が長くなりやすい境界性人格障害のケースもあるようです。
どんな場合に治療が困難になりやすいのかというと、境界性人格障害と重度の解離性障害の合併症のケースだそうです。
重度の解離性障害の多くのケースでは、性的虐待などの被害にあっているそうです。
ただ、解離性障害を合併している場合でも、治らないわけではなく、適切な治療をすることで、境界性人格障害の回復は可能といわれています。
▼関連記事
境界性人格障害は治る?治らない?【まとめ】
今回分かったことは、適切な治療をすることで、境界性人格障害のほとんどは改善し完治する、ということです。
境界性人格障害の人の身近な人、例えば親や配偶者(夫/妻)など、患者本人を支える人の存在が治療に大きな影響を与えるといわれています。
適切な治療を受けて、境界性人格障害で悩む人が一人でも減ることを願っています。
▼関連記事
→愛情不足や愛着障害が境界性(ボーダーライン)人格障害の原因に?
◆この記事は、パーソナリティ障害の臨床の第一人者であり岡田クリニック院長の岡田尊司先生執筆・監修「ササっと分かる境界性パーソナリティ障害(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。