[発達障害の家族の対応]親のストレスが子どものストレスになることも
ADHDやLD学習障害、自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害は、家系や血縁、親の育て方とは無関係なものです。
子どもが発達障害になったことの責任を両親がお互いに押し付けあったり、原因探しをするような対応は意味がありません。
親のストレスが子どものストレスになることも
親が子どもを叱るのは「しっかりしたた大人に成長してほしい」という想いがあるからです。
ですが、いい親でありたいと努力する母親であればあるほど、子どもを叱ったあとで自己嫌悪に陥ってしまい、自責感や後悔の念にストレスを感じてしまうことも少なくありません。
発達障害の子どもにとっては、常に干渉してくる母親の言動そのものがストレスになり、心の成長に悪影響をあたえることもあります。
子どもが発達障害だからといって、親が過干渉になったり、構いすぎてしまうことも、健全な発達の妨げになりかねないのです。
子どもをひとりの人間として尊重した接し方が大切です。
逆に、親子の間に溝ができてしまうことをおそれて、子どもを叱ろうとする母親自身に別の精神的なストレスがないか振り返ることも大切です。
親自身にイライラする別のストレスがあれば、まずはそれを解消することが先決です
発達障害の子どもが安心できる家庭環境づくりを
障害があってもなくても、子どもにとって家庭は心のよりどころです。
両親の態度や言葉づかいは、子どもの自我形成に大きな影響があります。
例えば、父親と母親がいつも夫婦ゲンカをしていると、子どもは「また自分のことでケンカしている」と思い、そういった記憶は成人してからも残ります。
親が暴力をふるったりすれば、自分が気に入らないときは殴ってもいい、と学習してしまい、友達やクラスメイトに乱暴する要因にもなりかねません。
両親の良好な夫婦関係は、良い親子関係をつくるための基礎となります。
父親と母親が責任を押しつけあったり、悪口を言い合うのではなく、発達障害について共通の理解を持ち、子どもが安心して生活することができる家庭環境をつくることが大切です。
ときには発達障害の子どもから離れて距離をおいてみることも
ADHDやLD学習障害、アスペルガーや自閉症など、行動面での問題が多い場合は、子育ても大変です。
いつも子どもから目が離せず、神経が張り詰めていることも多くなり、母親のストレスもたまりがちです。
過剰なストレスから、母親が精神的にも肉体的にも疲れきってしまうこともあります。
いつも自分がついていなければ、と思うのではなく、子どもから離れて距離を置いてみることも、子どもの成長には大切なことです。
基本的には母親が育児をしているような場合には、休日は父親が子どもの面倒をみて、買い物に行ったり友達とランチにいったりと、母親が気分転換をする機会もつくるようにしましょう。
◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授の上野一彦先生執筆・監修「図解よくわかるLD(学習障害)(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。