高機能自閉症の症状や特徴について、LD学習障害との合併も多い
発達障害のひとつに、精神遅滞をを伴わない(知的な遅れがほとんどない)自閉症「高機能自閉症」があります。
自閉症の中でも知的な発達に遅れがない「高機能自閉症」は自閉症全体の2割程度といわれています。
今回は、高機能自閉症の特徴や症状についてまとめてみたいと思います。
0歳,1歳,2歳など幼い子供のころから特徴がみられる高機能自閉症
高機能自閉症の主な特徴のひとつに「社会性の障害」があります。
社会性の障害とは、対人関係が形成できず、人間関係がうまくいかないことです。
高機能自閉症の特徴は赤ちゃんの頃からみられ、例えば「母親と目を合わせない」「笑わない/反応しない」「だっこを嫌がる」「親の後追いをしない」などの行動があります。
高機能自閉症の子供は、人に対する興味や関心が薄いので、他人であっても親であっても、甘えるということが少ない傾向がみられます。
また、幼稚園や保育園に行くようになってからも、同じ年齢の子供になじめずに、ひとりで遊ぶことが多いようです。
2歳や3歳でもしゃべらないことも
一般的な子供は、2歳頃から「まんま」や「ちょうだい」などの言葉を話すようになります。
そして3歳頃から急速に話せる言葉が発達していきます。
ですが、高機能自閉症の子供の場合は、2歳、3歳になっても言葉を発しないケースもみられます。
定期検診の際に「まだ話さない」と親が心配して医師に相談したことがきっかけで、高機能自閉症と分かるケースが多いようです。
疑問形や質問、オウム返しも
高機能自閉症の子供が言葉が出るようになり話すようになってきても、相手の言葉をオウム返ししたり、自分の要求をするときに疑問形で言ったりします。
例えば、おやつが欲しいときに「おやつ、欲しい?」と質問することも特徴としてみられます。
また、言葉で伝えるのではなく、相手の手をつかんで引っ張っていく動作をすることもあり、人の手を道具のように使おうとする特徴から「クレーン現象」と呼ばれています。
興味や行動が狭い、高機能自閉症の常同行動
高機能自閉症の子供の特徴のひとつに「想像力が乏しい」ことがあり、興味や関心の対象範囲が限定的になる傾向がみられます。
1つのことにこだわり、何回も繰り返す行動「常同行動」がよくみられるにも特徴的です。
強いこだわりは「変化を嫌がる」ことと同じであって、いつもの道が工事などで通れない場合にパニックを起こして動けなくなってしまうこともあります。
また、家の中や学校でも、机の位置が変わっただけで過剰に反応して、泣きわめいたり暴れたりする高機能自閉症の子もいます。
高機能自閉症の常同行動の例
・手をパチパチ叩きながら飛び跳ねる
・手のひらをくるくるさせる
・手の平で水を受け続ける
・同じ場所を行ったり来たりする
・上半身を前後にゆする
・本のページをパラパラめくる
・積み木などをひたすら横に並べる
◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授の上野一彦先生執筆・監修「図解よくわかるLD(学習障害)(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。