ADHDのサボり癖は治らない?学校での教師の対応|発達障害

ADHDのサボり癖は治らない?学校での教師の対応|発達障害

ADHDなど発達障害のある子どもは、学校での掃除当番や担当の係りの仕事を途中で投げ出したり、その場からいなくなってしまうことがあります。

「ADHDのサボり癖は治らない」といわれることもありますが、学校での担任教師の対応や対策としてどのような方法が有効なのでしょうか。

ADHDの子どもはサボり癖がひどい?発達障害

小学校や中学校では、掃除当番をはじめ、黒板消し、廊下の掃除、机運びなど、当番や係りの仕事がたくさんあります。

ですが、多動性や衝動性の強いADHDの子どもの場合、掃除などの作業を続けることが難しく、途中でふといなくなってしまったり、ほうきを振り回して遊び始めたりしてしまいがちです。

また、ADHDとの併発も多いLD学習障害の子どものうち、短期記憶が弱いタイプでは「次に何をするのか」を記憶できずに忘れてしまいやすく、ぼーっとしてしまうことも少なくないようです。

その結果、クラスメイトや教師からは「サボり癖がひどい」「ふざけている」「怠けている」など低評価のレッテルと貼られてしまうのです。

ADHDの子どもはやる気がないのか?

サボり癖がひどいといわれるADHDやLD学習障害など発達障害の子どもたちですが、本人にやる気がないことが原因なのでしょうか。

ADHDやLD学習障害などの発達障害がある子どもたちは、まわりの人を見て学ぶ、真似をする、空気を読む、といった能力が低い傾向があるため、自分勝手と思われがちな行動をとりやすいのです。

とはいえ、発達障害の子ども本人にやる気がないわけではありません。

ADHDやLD学習障害の影響で「集中力が続かない」「何をすればいいかわからない」という状態に陥りやすく、掃除当番や係りの仕事をうまくこなせないのです。

学校の担任教師の対応と対策について

では、発達障害の子どもに対して、学校では担任教師はどのような対策や対応をとればよいのでしょうか。

例えば「掃除のしかた」を覚えることが苦手な発達障害の子どもの場合、次のように掃除の方法や手順を細かく具体的に書いた紙を貼る方法も有効です。

【そうじのしかた】
①机を後ろに運ぶ
②ほうきでゴミを集める
③ちりとりでゴミを拾い、ゴミ箱に捨てる
④ほうきとちりとりを片付ける
⑤机を元に戻す
⑥ぞうきんで机の上を拭く
⑦ぞうきんをあらう
⑧窓を拭く

また、掃除用具を片付けるときには、ほうきやちりとり、ぞうきんをどの位置に片付ければいいか、ひと目でわかるように写真やイラストを使うのも効果的な方法です。

発達障害の子どもへの指示は具体的に

発達障害の中でもADHDの子どもでは、多動性や衝動性の特性のため、ほうきやぞうきんなどで遊びだしたり、何をすればいいか分からずボーッとしてしまう子もいます。

そういう場合、教師の指示の伝え方としては「具体的に、シンプルに」がポイントになります。

ちゃんとやりなさい、早くやって、などあいまいな言葉では、発達障害の子どもは何をどうすればよいのか分かりにくいので、「ほうきでゴミを集めて」と具体的な指示の伝え方が有効です。

発達障害の子どもに成功体験を積ませることが大切

発達障害だから、ADHDだから、そうじをしなくてもいい、と特別扱いをすることは、発達障害の子どもにも、他の子どもにも良い教育はいえません。

ADHDやLDなどの発達障害の子どもにも、できる作業や役割を与え、「自分ひとりでできる」という成功体験を積ませることが大切です。

成功体験を積み重ねることで、失敗を乗り越える力が身につき、やる気や向上心が生まれ、将来的な自立へとつながります。