発達障害の子どもに多い悩み「友達がいない」親の対応は?
発達障害(ADHDやLD学習障害)の子どもが「友達がいない」「友達ができない」と悩むことも少なくないようです。
同年代のまわりの子のグループになじめない、人付き合いがわからない、と、孤立しやすい発達障害の子どもに対して、親や学校の教師などまわりの大人はどのように対応、支援すればよいのでしょうか。
発達障害だと友達がいない?できない?
子どもは、まわりの子どもと一緒に遊ぶ体験を通して、人間関係やコミュニケーションスキルを学んでいくものです。
しかし、ADHDや学習障害LDなど発達障害がある子どもの中には、人間関係でつまづいたり、コミュニケーション能力が育ちにくい子どももいます。
他人に対して興味や関心が低く、自閉症傾向がみられる発達障害の子どももいて、同年代の子どもたちと関わることを負担に感じることもあります。
その結果、まわりの子と一緒に遊ぶことを避け、いつもひとりぼっち、友達がいない、できない、という発達障害の子どももいます。
友達づくりはあせらないことが大切|発達障害
発達障害の子どもの友達づくりや関わりにおいては、あせらないことが大切です。
刺激が少なく、一緒にいてホッとできるような、気持ちが安定する子どもとの関係を育てていくとよいでしょう。
例えば、一緒にいると落ち着く、好きなゲームやアニメの話を楽しくできる、という友達関係からスタートするとよいでしょう。
最初から「友達をたくさんつくろう」と思っても、なかなかうまくいかないものです。安定した関係の友達をひとりずつ、そこから新しい人間関係をひろげていくようにしましょう。
友達がいない発達障害の子どもを親が放っておかないように
発達障害の子どもが「他の子に関心や興味がないから」といって、親がその状態を放っておくことは良い対応とはいえません。
ひとりぼっちで孤立状態になりやすい発達障害の子どもは、成長するにつれて「自分のことを無視している」と被害感情が強くなりやすく、悩みやすい傾向があるので注意しましょう。
親としても、決してあせらずに、発達障害の子どもの友達関係をサポートしていくようにしましょう。
マナーやコミュニケーションスキルを教えること
発達障害の子どもの中には、対人コミュニケーションスキルが未熟なため、友達ができないケースも多くみられます。
例えば、会話をする時に、相手に近づきすぎていやがられる、という発達障害の子ども少なくありません。
一般常識、マナー、暗黙の了解、などは、発達障害の子どもは理解するのが難しく、そのことが円滑な人間関係の障害になってしまうこともあります。
あいまいな言葉ではなく具体的に伝えること
マナーやコミュニケーションスキルを発達障害の子どもに教えるときのポイントは、あいまいな言葉ではなく、具体程な表現で伝えることです。
「少し」「ある程度」などのあまいな言葉は、発達障害の子どもは理解するのが苦手なことも多く、「50cmくらい」などの具体的な言葉で教えるようにしましょう。
声が大きすぎる場合には「中くらいの声で」、何回も同じことを話すときは「同じことは2回まで」など、コミュニケーションのルールを決めると理解しやすくなります。
また、発達障害の子どもがそのルールを守ったり、うまくコミュニケーションできたときは、すぐにほめることも大切です。
◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授の上野一彦先生執筆・監修「図解よくわかるLD(学習障害)(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。