発達障害の行動修正とは?褒め方と叱り方|ADHD/学習障害LD
ADHDやLD学習障害など発達障害の子供の問題行動を改善するためには「行動修正」という方法が有効です。
行動修正では「ごほうび」と「罰」を適切に使い分けながら導いていく指導法で、家庭でも応用可能な方法です。
タイミングよく発達障害の子供をほめることが大切
ADHDやLD学習障害などの発達障害の子供の問題行動は、それまでの学習がうまく積み重ねられなかった結果と考えられます。
特に、多動性のADHD、ADHDと併発しているLD学習障害の行動特性を改善するのは難しいものです。
ですが、ADHDやLD学習障害の子供の指導経験が豊富なベテランの教師の接し方を分析すると、発達障害の子供をタイミングよくほめていることがわかります。
発達障害の子供たちもそういった関わり方を喜んで受け入れているようです。
発達障害の行動修正/行動療法とは?
そうしたベテラン教師の教え方は「行動療法」「行動修正」といわれる方法です。
行動修正/行動療法は、病院などの専門施設で行う特別なトレーニング方法ではなく、家庭でも応用可能な方法で日常生活のなかで実践していくものです。
行動療法/行動修正では、まず最初に目標を決めます。
目標を決めるときのポイントは、ひとつひとつ段階を踏んでいくことです。
あれもこれもと欲張るのではなく、できそうなことを細分化(スモールステップ)して、目標の行動ができるようになるために、ご褒美(プラスの強化)と
罰(マイナスの強化)をうまく使い分けながら指導していきます。
ほうびと罰の種類や方法は?
行動修正/行動療法のごほうびには、例えば点数をつけたりシールを与えたりする方法も有効です。
ごほうびは成果とのバランスを考えながら与えることが大切です。
タイミングが重要で、良い行動をしたときにすぐにほめるようにしましょう。
時間が経ってしまって後からほめても、発達障害の子供は何がよかったのか、何についてほめられているのか理解できません。
逆に、望ましくない行動をしたときは罰を与えますが、罰といっても、体罰や激しく叱ることではありません。
体罰やしつこく叱るような指導法では、発達障害の子供の自尊心を損ないかねません。
罰の例としては、ごほうびの点数を減点したり、シールを取り上げる、好きなゲームを30分禁止するなどの方法が効果的です。
叱るよりもほめることが大切
行動療法/行動修正を取り入れ、発達障害の子供の問題行動を改善するためには、「叱る」よりも「ほめる」ことに重点を置くようにしましょう。
ただ単に「ほめる」のではなく、ポイントは「どんな行動をしたときにほめられるのか」という点を発達障害の子供が理解しているかどうか、が大切なポイントです。
なので、親の気分がいい時はほめるけど、そうじゃないときはほめない、と一貫性を欠いた接し方では効果が期待できないので注意しましょう。
まとめ:発達障害の行動修正の方法
・目標行動を決める
・目標は細分化しスモールステップで段階的に設定する
・叱るよりもほめることに重点を置く
【プラスの強化(ご褒美)】
望ましい行動がとれたらご褒美をあたえる
・シールや花マルをつける
・ゲームを30分間できる
・嫌な課題を免除される など
【マイナスの強化(罰をあたえる)】
問題行動をした時は罰をあたえる
・体罰や暴力は絶対にダメ
・大声で叱る、しつこく説教するのもNG
・冷静に落ち着いた対応が大切
・ご褒美のシールを取り上げる
・ゲームやテレビを30分間禁止する
・課題を増やす など
◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授の上野一彦先生執筆・監修「図解よくわかるLD(学習障害)(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。