学習障害LDは障害ではない?定義と特徴、知的能力は

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学習障害LDは障害ではない?定義と特徴、知的能力は

学習障害LDは発達障害のひとつで、日本でも認知度があがってきています。

特に小学校などで学習障害LDに気づかれるケースが増加しているようです。

今回は、学習障害LDの定義や特徴、知的能力などについて調べてみたのでシェアしたいと思います。

知的能力には障害がなく、学習能力に障害がある

学習障害LDは、英語で「Learning Disabilities」、日本語では「学習障害」と訳されています。

知的能力に障害がないのに、読む、書く、計算する、推論するという基本的な学習能力のどれかに障害がある状態を意味します。

言語能力、運動能力、コミュニケーション能力など、いろいろな状況で遅れがみられる知的障害とは違い、部分的な遅れやわずかな遅れがみられるのが学習障害LDです。

例えば「計算はできるのに、教科書を読めない」「話すのは普通なのに、人の言うことが理解できない」などの症状がみられることもあります。

学習障害LDだと気づくケース例

・習ったはずの九九ができない
・先生の言うことが理解できない
・ひらがなが読めない

学習障害LDは認知に不具合がある

私たちは、目や耳などの五感から情報をキャッチして、記憶と照らし合わせて、次の行動を判断したり、話したり、書いたり、運動したりします。

この情報処理の流れを認知といい、学習障害LDでは、この認知のどこかに不具合があるといわれています。

壊れているということではなく、クセがあるというイメージの方が近いでしょう。

情報処理の得意、不得意がかたよってみられるのが学習障害LDの症状の特徴です。

学習障害LDは障害ではない?

LD(Learning Disabilities)は、日本語では「学習障害」と訳されているのですが、専門家の間では「障害」という言葉に否定的な意見が多いようです。

というのも、「障害」という表現には差別や不利益など重たい意味やイメージがあるからというのが理由です。

LDは英語では「Learning Disabilities」となり、Disabilitiesには不全や不調という日本語の意味になるので、障害というよりも弱点ととらえた方が近いと考えることもできます。

この辺りのことも、日本で学習障害という日本語の表現ではなく、英語でLDと呼ぶ人が徐々に増えてきているのと関係があるのかもしれませんね。

学習障害LDの定義

1999年に日本の文部科学省が定義した「学習障害LD」は次の通りです。

学習障害(LD)の定義 <Learning Disabilities>

(平成11年7月の「学習障害児に対する指導について(報告)」より抜粋)

 学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
 学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。

◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授の上野一彦先生執筆・監修「図解よくわかるLD(学習障害)(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。