認知のゆがみを直す、境界性パーソナリティ障害のカウンセリング
境界性パーソナリティ障害のカウンセリングでは、少し高度な傾聴スキルが必要になる場合があります。
今回は、カウンセリングスキルのいくつかのテクニックについて書いてみたいと思います。
境界性パーソナリティ障害の認知のゆがみを直す
境界性パーソナリティ障害の人は、自分の気持ちや事実を整理して話すことが苦手です。
また、相手から「そうじゃない」など否定されたり批判をさせることを嫌がり、激しく反発する傾向があります。
境界性パーソナリティ障害のカウンセリングでもっとも重要なことは、しっかりと傾聴することです。
事実をゆがめて感情的な思い込みをしやすい境界性パーソナリティ障害の人に対するカウンセリングでは、相手の言葉を使いながら投げ返していく、オウム返しや映し返し、ときに質問をうまくつかうカウンセリングテクニックが必要になります。
質問のカウンセリングスキル
本人の言葉をもとに、質問をして掘り下げていく
「○○さんは△△と感じているんだね」
「○○っていうのは、もっと具体的に言うとどんな感じ?」
「そのとき、どんな気持ちだった?」
認知のゆがみを直すカウンセリングスキル
「もしかしたら、○○ということだったのかもしれないね」
「○○というように受け止めてみるおはどうかな」
アンビバレントな感情をあぶりだすカウンセリング
「その気持ちは何パーセントくらい?」
「そうじゃない気持ちになることもある?」
本音を引き出すカウンセリングスキル
「本当はどうしたいの?」
「そのために、まずできることは何があるかな?」
具体的にするカウンセリング
「それを実現するために、今できることは何かな?」
「今20点の状態を、30点にするためには何が必要かな?」
仮定法の質問カウンセリング
「もし、何でもできるなら何をしたい?」
「もし、その問題が解決できたら、何をしたい?」
「もし、奇跡が起きて、悩みが全部なくなったら、何が変わったのかな?」
【まとめ】
境界性パーソナリティ障害のカウンセリングでは、受容、共感の傾聴の姿勢が重要なポイントになります。
認知のゆがみを修正するためには、まずは今現在の境界性パーソナリティ障害の人にとっての事実を受容し共感するところからスタートします。
カウンセリングの際、さまざまなカウンセリングテクニックを活用しながら、もっと気持ちが楽になる方向へと導いていくことが大切です。
◆この記事は、パーソナリティ障害の臨床の第一人者であり岡田クリニック院長の岡田尊司先生執筆・監修「ササっと分かる境界性パーソナリティ障害(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。